NISAについて考えました
株式市場も3月末には2万円を超えるという声もありましたが、残念ながら、逆に19,000円を前後するような動きとなりました。そうはいっても、2014年度の上昇幅は、4379円ということで2005年度以来9年ぶりの上昇幅となりました。
このように株式市場は、好調を維持していますが、一方で、最近、少額投資非課税制度であるNISAの稼働率が低いという記事をよく目にします。
通常であれば株式の売却益や配当には、それぞれ20%程度の課税が行われますが、NISA口座で購入すれば、それが免除されるということですので、普通に考えると使わなければ損と考えるのではないかと思います。
ただし、NISAには、売却損を売却益と通算できないという利用者にとっての弱点があります。
配当はともかくとして株式の売買では必ずしも利益がでるとは限りません。通常の口座で取引する場合、株式の売却益と売却損は、通算され、確定申告により損失を繰り越すことも可能です。ところがNISA口座で売却損が発生した場合には、通常の口座で発生した売却益との通算や損失の繰り越しができません。
NISA導入の目的のひとつとして、貯蓄に回っている個人資産を、より投資に振り向けられやすくなるよう投資環境を整備していくことにより、「貯蓄から投資へ」の流れを促進し、経済の活性化へつなげていくことがあげられています。
ところが、売却損の取り扱いを考慮するとNISA口座で株式を購入するということは、通常の口座で株式を購入するよりも、実はハイリスクハイリターンということになってしまい、どう考えても個人資産を投資に振り向けられやすくする制度とは考えられません。やはり、売却損の通算を認めてこそNISA導入の目的が達成できるものと思われます。
NISAの稼働率が低いのは、この理由によるものかどうかはわかりませんが、現状のままのNISA制度が継続されるのであれば、NISAの利用にあたっては、このような弱点をよく理解しておくことが必要でしょう。