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アメリカのディーゼル規制とRXVISION

最近の出来事から学生時代に読んだ「ロータリーがインディに吼える時」(著者 高斎 正)という小説を思い出しました。実家が引っ越しをしてしまったので、その本がどこにあるかわからず、ネットで注文しようと思ったのですが、中古しかないようでした。私が読んだのは、文庫本でしたが、文庫化されたのは1982年のようですのでもう少し前に出版されたものだと思います。
題名のインディというのは、米国のインディ500マイルレースのことです。このレースは、ル・マン24時間レース、F1モナコグランプリと並んで世界3大レースと言われています。この小説は、SF小説でありフィクションなのですが、自動車メーカーであるマツダが、オイルショック後の原油高騰のおり、燃費が悪いと言われて消滅寸前であるロータリーエンジンの評判を上げるために、ロータリーエンジンを搭載したRX500という車でインディ500マイルに挑戦する話です。
この話を思い出したのは、今回の東京モーターショーでマツダが、RXVISIONを出展してロータリーエンジンの復活を宣言したこともありますが、同時にフォルクスワーゲンの排気ガス不正ソフトウェアの事件も理由の一つです。
この小説の主題ではありませんでしたが、マツダの販売部門は、主人公たちにレースでの結果は、ほどほどにするように注文を付けます。それは、かつてインディ500マイルで圧倒的な実力を見せつけたものの、最後に故障で優勝できなかったガスタービン車が、その後、度重なる規定の変更でその性能を奪われてしまった過去があったからです。それは米国メーカーが異質なエンジンを許さないということの証左でもあり、ロータリーエンジンがそのようなことになることを恐れたからでした。
今回、フォルクスワーゲンは、米国でディーゼル車による不正を行ったわけですが、米国のディーゼル車に対する規制は非常に厳しいものであり、日欧でディーゼル車を販売しているマツダも米国では販売していません。不正は論外だと思いますが、不正に至る過程には、この小説のようにガソリンエンジンが主流である米国乗用車市場においてディーゼルという異質なエンジンを排除しようとする動きがあったのではないかと思った次第です。
ひょっとしたらこの小説を読む方もいるかもしれませんし、記憶も薄れてしまっているので結末は伏せますが、マツダは現実の世界では、1991年にロータリーエンジンでル・マン24時間レースに優勝しています。
ところで、もうひとつ印象に残ったのが、あとがきです。作者は、この小説を執筆するのにあたって最初は、30年後の世界からタイムスリップした未来人が、その世界で消滅してしまったロータリーエンジンを復活させるために、レース参戦を頼んだという構想だったということが書いてありました。RX8の生産終了を最後に、ロータリーエンジン車が生産されていないことを考えると作者の慧眼は素晴らしいものだと思います。RXVISIONは、一世を風靡した歴代RX7の後継車として復活するのか、RX9になるのかはわかりませんが、ローターリーエンジンが復活するということは、ひょっとしたらどこかにその未来人がいるのかもしれません。

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