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リスク回避の円高

新年早々株式市場が低迷しています。中国の景気減速による世界経済の悪化懸念というのが大方の見立てだと思いますが、それに拍車をかけるように1月6日には、北朝鮮が水爆実験を行いました。そのためリスク回避の円高が加わり株式市場はさらに下落するという状態となりました。

ところでリスク回避の円高と報道されていますが、日本の近隣にある北朝鮮が水爆実験を行ったのであれば、欧米諸国よりも日本の方がはるかにリスクが高いと考えるのは当然だと思います。それにもかかわらずリスク回避として日本の通貨である円が買われるというのは、どうも釈然としません。

「日本は平和憲法を持っているから戦争に巻き込まれない。だから戦争が起きそうなときは安全な日本の通貨である円を買おう。」という考えもひょっとしたらあるかもしれませんが、おそらく市場関係者でこのような考えを持つ方は皆無でしょう。

では、なぜ円高になるのでしょうか。それは、ここでいうリスクは投資家の身の安全にかかわるリスクではなく、新興国のように経済成長率の高い高金利国に投資している投資家の損失リスクだからだと思われます。このような経済成長率の高い高金利国に投資する場合、経済が低迷している低金利国の通貨を借りて資金を調達します。いわゆる円のキャリートレードという取引ですが、これは、高金利国通貨の買いと低金利国通貨である円の売りを伴います。一方で何らかの要因で世界経済の混乱が予想されると、これらの投資家は損失リスク回避のために投資を手仕舞いしますので、前の取引とは逆に低金利国通貨である円を買って高金利国通貨を売ります。その結果、円高になるものだと言われています。

政府の見解では、景気は順調に回復しているようですが、リスク回避の円高が起きるということは、残念ながら、まだまだ日本経済の低迷が続くことを市場関係者が予期していると言えるのではないでしょうか。

ところで、1月15日には、「天空の城ラピュタ」が放映されます。都市伝説でジブリの呪いといわれるものがありますが、バルスの呪文がさらなる相場の波乱を引き起こさなければ良いのですが。

 

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